第1回ぴあ展

第2回目があったのかは知らないけれど、大学入学で東京に出た翌年に「ぴあ展」が開催された。
通しの入場券が定期券のようなデザインだった。
19歳の僕は、文化人へのとりとめの無い憧れに全身ずぶ濡れ状態となり、授業にもろくに出ない駄目学生となっていった。
「漫画家になる」という漠然とした思いだけで、僕はすっかりモラトリアムの世界に引きずり込まれていったんだな。
この頃、渋谷のシェーキーズで生まれて初めて焼きたてのピザを食べた。
青臭い夢を語り、停滞している自分に気付かぬフリをしながら、永島慎二の「フーテン」の世界を疑似体験しているつもりで自己肯定しようとしていた。
この期間が僕の人生にとって瑕疵だったのは間違い無いけれど、今はただ、何もかもが懐かしいだけ。