MNG実験劇場

画像フォーマットのひとつであるGIFの圧縮方式LZWは、米国UNISYS社が特許を所有していましたが、UNISYS社はLZWを普及させるために、GIFでLZWを用いる場合に限り、特許料を無料にしていました。
そのため、軽量で簡単なアニメーション機能もあるGIFは、WEBサイトを飾る画像形式としてインターネットで普及していきました。
UNISYS社はGIFがインターネットに普及した頃を見計らって、1994年にLZWの特許使用料を突如有料化し、GIFを生成することのできる有料ソフトを作る企業や個人に対して高額な特許料を請求し始めました。
さらに、それらのソフトを使用してGIF画像を作成した者にも特許料の支払い要求をちらつかせ、ついには1999年に、フリーソフトからも特許料を徴収すると警告したのです。
僕はそれまでフリーソフトでGIFアニメ作品を作成していたのですが、フリーソフトの作者が特許料支払いを回避するためにソフトの供給を停止し、また、WEBサイトにGIFを使うことも特許侵害にあたるということで、作品の媒体を失う事態に見舞われました。
この一連の特許問題を受け、1996年にインターネットの標準仕様を司るW3Cによって、LZW特許を使わずに同等以上の機能を提供する新しい画像形式PNGが作られ、ブラウザもPNGに対応するようになってきていましたので、僕はPNGで静止画像を作り、それをJavaScriptで自動的に順次表示する機能を詳しい人の助けを借りてWEBサイトに実装し、「WEB紙芝居」と名付けて発表するようになりました。
当時は「GIF撲滅/PNGを使おう」運動にも参加して活動したりもしていました。
このPNG普及運動で知り合った技術者から、アニメーション機能の無いPNGにアニメーション機能を加えたMNGの紹介を受け、メインサイトとは別に「MNG実験劇場」というサイトを立ち上げて、MNGによる作品発表を始めたのです。
MNGについてはブラウザの対応が実現せず、JAVAアプレットを実装して表示するものでしたが、海外からの閲覧者も多く、外国語のメールをもらって困ったりしました。
この実験劇場はしばらく続けましたが、当時の回線速度では表示が重くアニメーションの作動も不安定だったため、僕はMNGに見切りをつけサイトを閉鎖しました。
結局、MNGは現在に至るもインターネットの標準画像形式とはなっていません。
UNISYS社のLZW特許は日本でも2004年6月20日で切れましたが、僕は2002年頃からSWF形式(FLASH)のアニメーションに移行していたので、GIFアニメに戻ることはありませんでした。