舌切り雀

舌切り雀」は米を煮詰めて作った糊を雀が食べてしまい、その報復としてお婆さんに舌を切られた気の毒な雀をお爺さんが助けたので、お婆さんには謝罪のために、お爺さんには報恩のために「雀のお宿」に招待し、宴席を設けお土産に大小の葛籠を用意したところ、欲の深いお婆さんは大きな葛籠を選択、小さいほうを貰ったお爺さんの葛籠には黄金宝物ザックザク、お婆さんの選んだ大きい葛籠には魑魅魍魎が入っていてお婆さんは恐ろしい目に遭う。最初からそうなると見越して、恨みあるお婆さんを「偽謝罪&招待」で陥れた雀の作戦勝ちという、恐ろしい報復譚である。
この話にもあるように、雀は穀物を盗む害鳥という認識が日本にあったようだけど、これは中国伝来の価値観なのかも知れない。
1958年から1962年までの間、毛沢東の指導の下で実施された「大躍進政策」では、農業生産向上のために「雀狩り」が奨励された。これは徹底され中国の雀は根絶やしに近いダメージを受けたけれど、この結果、捕食者不在となった蝗が大量発生して穀物を食い尽くし、3000万人以上の餓死者が出たと言う。
毛沢東は「大きな葛籠を選んだ欲張り婆さん」だったんだな。