消えない「差別」

虫愛ずる姫君」はナウシカのモチーフとなった虫好きのお姫様の話だけれど、僕のような昆虫恐怖症の者には文字通り虫唾が走る話である。
蛇を愛玩する人にとって、蛇は可愛い生き物だろうけれど、僕には無理。
寿司屋に入ったら板前さんがブラックアフリカンで、日本語が上手く性格が良くても、たぶん僕は彼が握った寿司を旨いとは感じないし、二度とこの寿司屋には行かないだろう。
でも、それは彼のせいじゃない。悪いのは僕の方だと思う。
だから、ブラックアフリカンは寿司職人になってはいけない、なんて声を上げたりはしないし、もしもそういう声が上がったら、彼らの寿司職人への道が閉ざされないように、権利を守ってあげたいと思う。
でも、僕はブラックアフリカンの寿司屋に行きたいとは思わない。
僕は「差別」に反対するけれど、僕の中にある「差別」は消えないのだ。