新渡戸稲造『偉人群像』の伊藤博文

この本の310頁に伊藤博文との会話が載っていて、伊藤曰く「君、朝鮮人はえらいよ。 この国の歴史を見ても、その進歩したことは、 日本よりはるか以上であった時代もある。 この民族にしてこれしきの国をみずから経営できない理由はない。 才能においては決してお互いに劣ることはないのだ。 しかるに今日の有様になったのは、 人民が悪いのじゃなくて、政治が悪かったのだ。 国さえ治まれば、人民は量においても質においても不足はない」。
これに対し新渡戸も、当時の日本人がアジアの他民族をしばしば劣等視することに、憤慨する意見を述べている。
伊藤博文は「朝鮮は朝鮮人のもの」と主張して、日本人の朝鮮移住を推し進める桂太郎と衝突している。伊藤博文は、既に開拓をすすめている北海道、台湾に続いて、朝鮮まで日本人の移住を進めて領土化することは、国家財政を圧迫するという危機感を持っていたようだ。結局、日本統治の35年間での朝鮮への投資は、日本の持ち出し超過で終わっている。
現代韓国で祖国の英雄とされている安重根によって、1909年に伊藤博文は殺害されたけれど、これは朝鮮にとってマイナスのテロ行為だったと思う。