解雇規制緩和と転職社会醸成の必要性

パワーハラスメントに対して厳しい社会となるのは良いことだと思う反面、管理職の経験で言うと、法令による解雇規制の厳しさも見直してくれないと、一部の給料泥棒のために勤勉な従業員の生産性がその補填に回される現実が解決できない。
自分の鬱憤を晴らすためや溜飲を下げるために職位を利用するパワーハラスメントは犯罪行為だけど、解雇規制に守られた正規雇用に甘んじて努力も研鑽も怠るような者には、厳しい叱咤も必要なのだ。しかし、そういう叱咤もパワーハラスメントとして裁かれるのが現実だ。
正規雇用ばかりを守る解雇規制は片手落ちだし、多くの国民が給与生活者となる社会において、20歳前後で人生の優劣がほぼ固定される終身雇用制度をそろそろ終わりにしなければ、日本の資本主義は崩壊する。
子会社を持つ大企業は「出向」という名目で解雇規制をくぐる方法を持つけれど、それすらも恵まれた終身雇用制度に過ぎないと、中小企業労働者や非正規雇用の者からは見えるに違いない。
最終学歴の優劣で人生の安定を保障するような「ぬるま湯」は、もう世界で通用しなくなるだろう。解雇規制を緩めるとともに、年齢に関わらず転職しやすい文化を育み、同時に転職のための支援制度(訓練・教育・斡旋)にもっと税金を投入すべきだと思う。