資本主義は民主主義を滅ぼす

世界には民主主義の国よりも、独裁国家やそれに近い、非民主主義の国のほうが圧倒的に多い。
ソ連の崩壊で冷戦時代が終われば、世界は民主主義で覆われると思っていたけど、甘い幻想だった。国民の民主主義リテラシーが高くなるほどに豊かな国でなければ、民主主義は維持できないのが現実なんだな。
冷戦終了後、共産ファシズムから解放された国々は、民主化すれば先進国並みに豊かになれると、大きな誤解をしてしまった。
現実は逆なのだ。先進国並みの豊かさが国民の民主主義リテラシーを育み、その結果ようやく民主化が達成される。
民主化がもたらす「自由」は、倫理観の根付いていない地域では不正を蔓延させ、民主化によって導入される自由主義市場経済は先進国の大手資本も絡んだ強者が弱者を搾取するだけだったから、人々は民主主義に幻滅し、民主主義よりは旧来の宗教や、強権的な指導者による秩序維持のほうがマシだと考えるようになっている。
民主主義は言論が基本なので、民主主義を求める人のほうが教育レベルも高く情報発信力がある。そのため、どの地域でも民主化を求める声が大きいように報道されるけれど、独裁国家を支えているのは、強権への恐怖ばかりではなく、民主主義よりは今のほうが良いと信じているサイレントマジョリティが存在するためだと僕は感じる。
このことは、現在の民主主義システムが持つ自由主義市場経済というレギュレーションが、民主主義を蝕む可能性を示唆している。
巨大化し寡占状態を作る資本の成長に歯止めをかけるような新しい経済ルールを作らないと、先進国でも資本の寡占化が進み、経済成長は富裕層だけのものとなって貧富格差が拡大し、自由主義市場経済を嫌って民主主義をも否定するサイレントマジョリティが生まれるだろう。多数決が基本の民主主義は、彼らによって民主的に否定され得るリスクがある。