テレビの敗北

中居正広の性加害問題に端を発したフジテレビ疑惑で、このところ「憶測で決めつけるな」という主張がネットやテレビで目立つ。
歴史学なんて信頼できる史料の隙間を憶測で埋めて学説をたてるから、新たな史料の発見で定説が覆されることがしばしばある。
確定できない部分が多くて、憶測で決めつけていかないと論理体系が作れないのだ。
そもそも、さまざまな仮説(いわば憶測だ)に基づいて対立し他者を攻撃するのは、宗教や思想の争いなど、人類の伝統と言っていい。
有権者だって、乏しい情報から憶測して(≒印象操作されて)投票しているのが民主主義の現実だもの。
今まで散々、憶測で他者を評価断罪してきたテレビのワイドショーコメンテーターが、「憶測で決めつけるな」とネット情報をたしなめるのは、まったく噴飯ものである。
今まで最強だったテレビの印象操作パワーが、ネットの印象操作パワーに負け始めているだけだ。