2025年の壁

経済産業省の「2025年の壁」レポートをざっくり読んでみて、ふと思ったのは米国の宇宙技術においてアポロ計画で培ったノウハウを失ったこと。
もちろん理論情報は継承されているはずだけど、「月に行く」プロジェクトがリスクと費用対効果を理由に中止されて長い空白期間が発生し、その間に実務経験者の高齢化、退職があって人的資産を失ったことを想起したのだ。
ITバブルの頃に、企業は時代の流行に押されて「形だけ」のシステム導入を競ったけれど、その熱が冷めて以降は旧態依然としたシステムを「形だけ」使い続ける状態であり、システムの保守部門を置いても一部の企業を除いて概ね小規模かつ社内では冷遇される部署なのが実情である。そもそも中小企業多くは保守を外注化していたし、ハードウェアのバージョンアップに合わせて仕方無くパッチワーク的なシステム改修に予算を割く程度だった。
そんな状態で20年前後の時間を空費し、システム導入時の責任者が退職していたり、保守契約先の技術者が流出していて、システムを導入した時の目的意識や哲学が失われ、システムのあるべき方向性を決められない状態にある。
上級管理職の多くがデジタルデバイスに対して、ゲームマシンの延長線上にある「玩具視」という偏見を持って軽視していたことも、システムの保守や進歩に予算を割かない体質を温存してしまった。
あと2年でサラリーマン生活は終わりだから「関係ねぇや」と思いたいけれど、この先年老いて社会的弱者になっていくことを考えると、この社会のシステムの大半が時代遅れになっていくことに不安を感じてしまった。