ポスタリゼーションの作家たち

大瀧詠一さんのレコードジャケットで一躍人気イラストレーターとなった永井博さん、山下達郎さんのレコードジャケットで有名な鈴木英人さん、そしてビッグコミック賞を獲って世に出たわたせせいぞうさんは、1980年代を代表するイラストレーターであり僕の憧れでもあった。
僕より10~13歳年上のこの人たちの上品で静的な作品は、グラデーションを使わずキッチリと分けられた色彩による表現が素晴らしい。特に鈴木英人さんやわたせせいぞうさんの、カラーパートを細い輪郭線で囲うという手法は、ソリッド感が際立って素晴らしい発明だと思う。(ほかの誰かが始めた技法かも知れないけれど)
たぶん写真をベースに描いていると思うのだけれど、デジタル作画が中心となった今では、表現技法そのものは写真加工アプリのポスタリゼーション機能(連続的な階調をもつ明暗や色彩を段階的にいくつかの階調に分けて表現する)によって容易に作ることができてしまう。
でもまあ、彼らのような素晴らしい作家が存在したからこそ、人工知能がその技法を備えるようになったのだ。

永井博(1947生)

鈴木英人(1948生)

わたせせいぞう(1945生)